この1週間で、同業の税理士さんたちと会う機会が2回ありました
1. 律する税理士コラム(近況報告)
この1週間で、同業の税理士さんたちと会う機会が2回ありました。
1つは、毎月1回開かれている税理士の勉強会。もう1つは、大学院の同期の税理士仲間3人でのゴルフです。
勉強会には、毎月1回、会員の税理士十数人が集まり、さまざまな講師を招いて勉強をします。終わると夕食を共にしながら、いろいろな話をします。
最近の話題は、もっぱらAIです。
ただ、メンバーのうち、AIをエージェントのように使って業務を自動化している税理士は、私のほかにもう1人くらいしかいません。
その彼は私より先を行っていて、会うたびに私は彼からAIの情報を仕入れています。
「今こういうことをやっている」と聞くと、すかさず家に帰って、同じレベルでこなそうと食らいつきます。
先を行く彼の影響を多分に受けて、スキルアップしてきたように思います。
私が知る限り、彼は業界内でもかなり上位のレベルにいると思います。
大学院の仲間とは、行き帰りの車の中でも、ラウンドの最中でも、ひたすらAIと業務の話をしていました。
AIをエージェントとして使っている税理士は、現段階では1割にも満たないと思います。
私のAI活用は、毎週書いているこのリスルメールをさかのぼっていただければ、導入の過程がわかると思いますが、私も初めはゼロからのスタートでした。
周りでやっている人はほとんどいないので、情報源はもっぱらX(旧Twitter)の税理士たちでした。
「こう使っている」という投稿を見かけると、すかさず「これと同じことをやりたい」とAIに伝えて、方法を出してもらいます。
壁打ちを繰り返した末に、なんとか、それなりにできるようになってきました。
これができるには、一定の条件があると思っています。
例えば、大規模事務所のスタッフが、勝手にAIを仕事で使うわけにはいきません。
AIで業務を自動化してしまったら、自分の仕事がなくなるかもしれないという恐れもあるでしょう。
理解のある所長であれば費用を出してくれるかもしれませんが、多くの場合は個人での課金になってしまいます。
私はたまたま所長で、自分の権限で課金ができ、自分の判断と責任で決めることができます。
そしてたまたま、AIやITに抵抗がなく、新しいツールはとりあえず使ってみるという性分でした。
加えて、税理士の業務には、自動化すべき題材がすでにあふれています。
自らの権限で課金し、使った結果に最終的な責任を負う覚悟があり、最低限のIT知識を持っている。
いまAIを使いこなしているのは、そういう税理士たちだと思います。
これから税理士は、AIを自ら使いこなせる税理士と、ベンダーの言うがままに税務ソフトに搭載されたAIを使う税理士とに分かれていくと思います。
そして、使いこなせる税理士が、そうでない税理士にコンサルティングを提供していくことになるでしょう。実際、すでにそうなりつつあります。
使いこなす事務所はローコストで多くの業務をこなせるようになり、生産性で比べると大きな差が開いていくと思われます。
日税連が9月に公表した「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」にも、「『使わない』というリスク」という項目があります。
もはやAIを使わないという選択肢はなく、AIをいかに業務に活かしていくかを議論するべきだと思います。
何より、税理士事務所よりも先に、クライアントの方がAIを使いこなしてくるはずです。
我々税理士は、中小事業者の生産性を高める責務を担っているともいえます。
守秘義務を守り、個人情報を保護するからといって、非効率なやり方を続けてよいわけではありません。
守秘義務と個人情報の保護を果たしながら、生産性も同時に上げなければいけません。
税理士には、AI活用のリスクを適切に管理しつつ効率化を進め、中小事業者の発展にも寄与するという社会的使命がある。そう言えるのではないでしょうか。
明日は大阪で、税理士事務所のスタッフの皆さんに、私のAI活用事例をお話ししてきます。
自分の事務所だけでなく、この経験を活かして仲間の税理士事務所のAI活用を支援することが、その先のクライアントを支援することにもつながると思っています。
その使命を果たしていきたいと思います。
オンラインで講演することもできますが、やはり現地に足を運び、フェイス・トゥ・フェイスで話すことには、まだまだ価値があると思っています。
ほかの地方の事務所の皆さまも、ぜひお声がけください。
2. 利するニュース(財務・税務・AI)
財務・税務・AIなどの最新トレンドをピックアップします。
税理士が扱うメインテーマとしての税務と付随業務である財務、そして業務と密接に関わるAI・IT関連の情報について、知っておくべき情報を発信していきます。
2-1 「12人の会社が4人に」——韓国MBC「PD手帳」がAIと雇用を特集:MBC(2026年10月13日放送)
韓国の公共放送MBCの調査報道番組「PD手帳」が10月13日、2回シリーズ「AIのジレンマ」の第1回「雇用終末論」を放送しました。制作陣は4か月かけて韓国・中国・日本の現場を取材し、約1,000万件の求職履歴書データを分析したといいます。
番組で紹介された主な事例は、次のとおりです。
- ブランドマーケティングのスタートアップでは、社員が12人から4人に減り、代わりに「AI社員」20人が24時間働いている。
- ネットショップの運営者は、AIで商品カタログの写真(ルックブック)を作るようになり、制作費が500万ウォンから30万ウォン台に下がった。
- 10年のキャリアを持つグラフィックデザイナーは、自分の作風をAIが一瞬で再現するのを見て、大工に転職した。
- 退職勧奨を受けた20代の社員は、引継ぎリストに「自分の業務をこなすAIへの指示文(プロンプト)」まで含まれていた。
- 中国では、今年上半期だけでAIで作ったショートドラマが約27万本制作された。人の8割ほどの作業能力ながら24時間動けるロボットも紹介された。
- 韓国銀行によれば、韓国の労働者の半数以上が、すでに生成AIを業務に使っている。
実務ポイント:
デジタル化で日本の先を行くことの多い韓国で、すでにこうした光景が広がっています。
いずれ日本でも同じことが起きる、と考えておいたほうがよいと思います。
人手不足の日本では、「人を減らす」よりも「採用できない分をAIで補う」という形で先に進むかもしれません。
ただ、AIを使いこなす会社とそうでない会社とで生産性の差が開いていく点は同じです。
まずは「自社の業務のどこにAIを使えるか」を1つ決めて、試してみることをおすすめします。
3. 利するマッチング(商材・人材・M&A)
このコーナーの案件は、Webの掲示板にまとめています。最新の案件と成約・終了の状況は マッチング掲示板 をご覧ください。
4. 利する相談事例(Q&Aコーナー)
寄せられた相談事例を匿名で紹介し、解決のヒントを共有します。質問・相談は、このメールに返信するだけで届きます。Webの質問箱からも1行で送れます(匿名可・ログイン不要)。
4-1 国税の「お知らせ」を、毎朝318社分まとめて受け取るように
前号で、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)のAPIを使って、申告の受付結果を自動で取り込み始めたことをご紹介しました。
今週は、その次の段階です。
事務所が申告を担当している法人について、e-Taxに届いている情報を毎朝まとめて取りに行くようにしました。
今朝(10月16日)は318社分を確認し、取得の失敗は0件でした。
取れる情報は、たとえば次のようなものです。
- ダイレクト納付やクレジットカード納付の完了通知 → 「納付したはず」を記録で確かめられる
- 法人税の中間(予定)申告の税額 → 中間申告が必要な会社を、期限の前に一覧にできる
- 事業年度、申告期限の延長の有無、消費税の課税期間など、税務署に登録されている情報 → 事務所の台帳とずれていないか照合できる
一方、17社は情報を取得できず、事務所の台帳に登録していたログイン情報が古いことがわかりました。
AIが台帳の誤りを見つけてくれるのは、思わぬ効果でした。
地方税(eLTAX)は、毎月の申告の確認のときに、約180社分の受付結果を数分で取り込んでいます。
結果は毎朝の業務まとめに自動で載り、人は気になるものだけを確認します。
もちろん読み取るだけで、システムから申告や届出を送ることはしません。
送信したつもりが届いていなかった、中間申告を忘れていた、という事故を、人の注意力ではなく仕組みで防ぐのがねらいです。
4-2 日税連のガイドラインに合わせて、AIの契約を見直しました
9月に公表された日税連の「AI・クラウド活用ガイドライン」を、事務所のAIの使い方と1つずつ突き合わせました。
ガイドラインでは、顧問先の財務データや個人情報をAIで扱うなら、
①ビジネス向けの有料プランを使う
②データの取扱いに関する契約(DPA)を結び、学習に使わない設定にして確認日を記録する
③所内のルールと教育を整える
の「3つの鉄則」を守ることとされています。
点検してみると、当事務所の使い方の多くはガイドラインの方向と同じでした。
承認したものだけを会計ソフトに登録する、送信は人が行う、税務の判断は条文で裏取りする、マイナンバーはAIに入れない、などです。
一方で、AIの契約の一部が個人向けのプランのままでした。
個人向けのプランでは、①と②を満たせません。
そこで、法人向けのプランに切り替えることにしました。
ただし、個人向けと法人向けで使用範囲に違いがあるようなので、法人に切り替えると今までの自動化が使えないことがあってはならないので、慎重に切り替えようと思います。
所内の規程や台帳も、ガイドラインのひな型を使って整えていきます。
5. 編集後記(食事、睡眠、運動など)
会社の経営数値と社長の健康数値。社長が管理すべき二大数値です。
自分自身の実践も含めて、短く共有していきます。
この連休は、2日続けてのゴルフでした。
1日目は親しい先輩に誘われて韓国人の社長とご一緒し、2日目は前段の大学院の税理士仲間とでした。
仲間の2人は私が誘って始めたのですが、今では私以上にどハマりしていて、有料のレッスンに通い、良いクラブを買いと、投資を続けている模様です。
「こんなに楽しいものに誘ってくれてありがとう」と感謝されています。
当の私はというと、楽しいものの、スコアが踊り場状態で悶々としています。
スコアはさておき、大自然の中を仲間と楽しく歩き回るのは、本当に気持ちのいいものです。
そこで交わされる情報も、AIでは得られない大変貴重なものです。
長く続けていきたいですね。
それでは、良い週末を。
◾️ 1クリック投票
【次に詳しく知りたいテーマは?(ボタンを押すだけ)】
結果は次号以降でお知らせします。
リスルメールに登録する(週1・無料)
登録が完了しました。
次の金曜日の配信からお届けします(登録直後にご案内メールをお送りします。お心当たりがない場合は、そのメールの「配信停止」から解除できます)。届かない場合は迷惑メールフォルダと、rissle@raeil-net.com の受信許可をご確認ください。