レイル自らを律し 税をもって 人を利する
RiSSLE Vol.046

9月、期限に追われる仕事

2026.09.04

1. 律する税理士コラム(近況報告)

あっという間に9月になりました。

仕事柄、どうしても月末が期限の仕事が多く、期限ギリギリの仕事がまだまだ多いです。

期限よりも前倒しで終える努力はしているのですが、相手のある仕事でそう簡単にはいきません。

かといって、期限ギリギリの仕事をしていては精神衛生上もよろしくありません。

私のみならず、他のスタッフたちにも負担がかかってしまいます。

また、ギリギリだからと焦ってする仕事はミスが増えるものです。

もっと仕事を前倒しにしてミスを減らす仕組みを作ろうとしていますし、そのためにもAIを活用して業務を効率化しようとしています。

AIにできることはとことんAIにやらせる。

人間はそれをチェックして、空いた時間を対人業務などに回す。

今週は月初めなので、前月の仕事を総括して改善点を検討するとともに、月初にすべき業務を進めています。

提出した申告書の控えの送付、請求書の発行、そして既に発行した請求書で入金がないところへの督促です。

これらもどんどんAIを活用して回すようにしています。

まずは自社の業務効率化ですが、それとともに、クライアントにとって有用な業務ツールを開発して提案し、提供する。

クライアントが楽になれば、その結果として我々の業務も楽になる、そういう世界線を描いています。

税務のみにとどまらず、自社だけでなくクライアントの生産性も高めることで、クライアントは本業にフォーカスして結果を出し、感謝をいただき、対価をいただく。

多くの税理士は「人手も足りないし、業務が手一杯でそれどころじゃない」と言いそうですが、ここにこそAIを活用する意味があると思っています。

AI時代に税理士が目指すべき方向性の一つだと思います。

2. 利するニュース(財務・税務・AI)

財務・税務・AIなどの最新トレンドをピックアップします。

税理士が扱うメインテーマとしての税務と付随業務である財務、そして業務と密接に関わるAI・IT関連の情報について、知っておくべき情報を発信していきます。

2-1 「60社をソロ担当」のAI税理士が帳簿672行読ませて実況、脅威の経理自動化(Forbes JAPAN)

スタッフゼロで顧問先60社を1人で回し、17時に退勤する税理士・畠山謙人氏の寄稿です。

この人のXの投稿を目にしたときの衝撃はすごかったです。

税理士業界(X界隈)がざわつきました。

私もすかさずAIに「これと同じことをやりたいのでやり方教えて!」、と投げました。

4月の前回記事は「記帳の自動化」がテーマでしたが、今回はその先の「チェックの自動化」です。

(以下要約)

まず記帳の現在地。

経理データの入口は「口座」「紙」「計算結果」の3つで、この3つすべてでAIが動いています。

毎晩21時にAIエージェント(Claude Code)がfreeeやマネーフォワードの未処理明細を取りに行き、日本語で書いたルール表で7〜8割の科目を決め、残りだけAIが読んで候補と理由を出す二段構え。

請求書・領収書はAIが画像を見て日付・取引先・金額・税区分を抜き出し、130件が約15分。以前は丸一日だったそうです。

給与の振替伝票もAIが下書きしますが、金額の当否は必ず人が見る。

どの入口でも「AIは起票案まで、登録は人が承認したものだけ」という設計は前回から変わっていません。

そして本題のチェック。

架空の会社の帳簿672行に、二重計上・科目のブレ・期末の計上漏れ・役員報酬の期中変動をわざと仕込み、受講生の前でAIに読ませると、お茶を一口飲む間に指摘一覧が返ってくる。

ベテランが点検すれば半日かかる作業です。

ただしAIは帳簿を勝手に直さない。

一次レビューのAIは「確認リストを作る」までで、証憑を開いて事実を確かめて直すかどうか決める二次レビューは人の仕事、という分業です。

氏の事務所は「作るAI」「見るAI」「人」の三層になっているそうです。

作る側と見る側を分ける理由が秀逸で、同じAIに「自分の仕訳、合ってる?」と聞くと、たいてい「合っています」と返ってくるから。

作った本人に検品させないのは、人間の組織と同じですね。

実務ポイント:

自社でやるなら、道具より先に「どの取引をどの科目にするか」と「ベテランが帳簿のどこを見ているか」を文章に書き出すこと。

それがそのままAIへの指示書になります。書けない部分が見つかったら、そこが属人化している場所の地図です。

費用は月数万円の桁で、主導するのはIT部門ではなく経理の現場の人。コードが書けるかどうかは関係ない、と氏は言い切っています。

うちの事務所もこれを参考に同じ構造で組んでいます。

夜間バッチがfreeeの未処理明細をルールで仕訳し、決算前には「決算ゲート」と「消費税ゲート」で機械的に検算し、判断と説明だけ人がやる。

このようにXが主ですが、先進的なAI活用税理士の事例を参考にして自社の業務改善に繋げています。

3. 利するマッチング(商材・人材・M&A)

このコーナーの案件は、Webの掲示板にまとめています。最新の案件と成約・終了の状況は マッチング掲示板 をご覧ください。

4. 利する相談事例(Q&Aコーナー)

寄せられた相談事例を匿名で紹介し、解決のヒントを共有します。

このメールに対する質問や相談、叱咤激励などのご意見などは以下のフォームからお願いします。次回以降のこのメールにて答えられる範囲で回答いたします。

リスルメール質問箱

4-1 今週作ったアプリ

Googleスプレッドシートで動く「業務台帳」

今週は、ある顧問先の経理業務を丸ごと作り変えるシステムを作りました。

現場が20か所ほどある人材ビジネスの会社で、事務員さんが毎月Excelで請求書、外注費の明細、給与、入出金表、粗利表を作っています。

資料をいただいて読み込んでみると、ホテルから届く1つの数字が、請求書ができるまでに6回も書き写されていました。

しかも請求書は元請ごとに5つの様式があり、外注スタッフへの支払いは月に2,000万円ほどが現金の手渡し。金種表まで手計算です。

そこで作ったのが、Googleスプレッドシート1冊で回る「業務台帳」です。

実績の数量、外注スタッフの出来高、社員の基本給を入れるだけで、あとはボタン1つ。

請求書PDF、外注費の明細(受領サイン欄つき)、金種表、振込一覧、入出金表、現場別の粗利表、そして会計ソフトと給与ソフトへの取込データまで、8種類が自動で出ます。

中身はスプレッドシートに付けたGoogle Apps Scriptで、AIが書いてくれました。

私がやったのは、事務員さんのExcelを全部読ませて「同じ数字を1回だけ入れる設計にして」と指示しただけです。

一番こだわったのは検算です。

数量×単価と税込の再計算が合わない現場は、ボタンを押しても止まります。

現金は「前月残+出金+両替−支払=残金」が合わないと金種表が出ません。

できあがった台帳で6月分を作り直したところ、事務員さんが実際に送った請求書16通、94名分の金種表、21名分の給与が、すべて1円まで一致しました。

つまり、事務員さんの数字は正しかった、ということでもあります。

10月1日からインボイスの経過措置が8割から7割に変わりますが、切替日も台帳に入れてあり、仕訳データが自動で切り替わります。

副産物として、現場ごとの粗利率が毎月出るようになり、実は赤字だった現場がその場で見つかりました。

事務員さんの転記作業は、月40時間ほどから8時間程度になる見込みです。

来週、事務員さんにオンラインで提案します。

「あなたの仕事を奪う」ではなく「あなたの転記をなくして、ミスをなくす」という説明をしようと思います。

4-2 法人税の申告書をスプレッドシートで入力する仕組み

会計はある程度自動化を進めていますが、法人税の申告書がネックです。

うちは「達人」という税務ソフトを使っていますが、達人はまだAIが使えるMCPを出していません。

なので、こればかりはソフトを起動して手入力する必要があります。

これをなんとか自動化できないかと、まずはスプレッドシートからのインポートで試行錯誤してみました。

流れはこうです。

申告書に必要な数字を会計などから拾ってきて、スプレッドシートに転記し、それを達人にインポートする。

一度申告書のデータを達人からエクスポートすると、それを読み込んでGoogleスプレッドシートのテンプレが自動で作られ、入力の雛形ができ上がります。

これをベースに担当者が必要な数字を入力し、達人の取込用CSVに変換して一括でインポートする仕組みを作りました。

達人の帳票データからテンプレを生成するので、様式が変わっても追随できます。

スプレッドシートの様式も、なるべく別表に近づけて作ってもらいました。

まだ入力しづらいところはあるかもしれませんが、これが完成すれば、スタッフたちが達人を開かずに別表を埋められるようになります。

4-3 納品メールの一括作成

申告書の控えと請求書をクライアントにメールで納品する作業を定型化しました。

Notionの申告管理データベースから対象を拾い、Googleドライブの申告書一式と請求書PDFを、社名と金額を照合するゲートを通してから添付し、Gmailの下書きを作ります。

今週は16社分を一気に作りました。

送信ボタンだけは人が押す、というところは変えていません。

下書きを作る前に「この社名のフォルダの、この金額の請求書か」をAIが確認するので、添付の取り違えが起きない仕組みです。

面倒な作業ほど、ゲートを付けて機械に任せた方が安全だと感じています。

5. 編集後記(食事、睡眠、運動など)

会社の経営数値と社長の健康数値。社長が管理すべき二大数値です。

自分自身の実践も含めて、短く共有していきます。

先週はNO会食ウィークでしたが、今週は逆に会食ウィークでした。

昨日は遠方の同業仲間がプライベートで東京に来ていて、「会いましょう」と連絡があり、居酒屋で気づいたら4時間も話し込んでいました。

プライベートで来ているにもかかわらず声をかけてもらい、情報交換ができた嬉しさのあまり、ついつい飲み過ぎてしまいました。

おかげで有意義な時間になりましたが、同時に体はダメージを受けました。笑

やはりオンラインだけでは伝わらないものがあるんだな、としみじみ感じました。

それでは良い週末を。

SUBSCRIBE

リスルメールに登録する(週1・無料)

  • 配信内容:律する税理士コラム/利するニュース(財務・税務・AI)/利するマッチング/利する相談事例
  • 配信頻度:毎週金曜(週1回)
  • 配信停止:各メール末尾の「配信停止」からいつでも可能です
  • 配信者:株式会社レイルコンサルティング(監修:レイル税理士事務所)/送信元 rissle@raeil-net.com

確認メールのリンクを押す手続きは不要で、送信した時点で登録が完了します。同意の記録として、同意日時・登録元・この画面の同意文言の版(rissle-consent-v1)を配信システムに保存します。