納税管理人業務、最初の1件
1. 律する税理士コラム(近況報告)
前回のメールでは契約書にサインしたところまででした。
契約書にサインをすると、早速テストで1件登録してみることになりました。
具体的な手続きについてはそこから必死で調べました。
国内の法人がインボイスを登録するには2枚ほどの紙に記入して税務署に提出をするだけです。ところが国外事業者の場合はそんなに単純ではありませんでした。
国外事業者がインボイスを登録するには、5つの書類を作成して提出する必要があります。
法人番号届出書、電子申告開始届、インボイス登録申請書、納税管理人届出書、税理士代理権限証書の5つです。
まず法人番号届出書。
法人番号の頭にTをつければ、それがインボイス番号になります。国内の法人は設立と同時に自動的に法人番号が付与されますが、国外事業者は持っていないのではじめに法人番号を申請することになります。
私は達人と言う税務ソフトを使っていますが、そのソフトでデータを作成し、電子申告で送信することになります。必要な資料は全てその中国のエージェントの会社がまとめてこちらにデータ形式でメールで送ってくれます。
1件の登録が無事完了し要領を得ると、次からは数十件単位でのデータが来ました。ソフトで送信するには会社ごとに基本情報をデータベースに登録する必要があるのですが、もちろん1件1件手入力なんてするはずもなく、税務ソフトのインポート様式に沿ったCSVデータをもらうことにし、それをまとめてインポートしました。
そこから5つの書類を作成しまとめて送信すると言う作業を繰り返すことになります。作業自体は複雑ではないので、私はそれをマニュアル化し、暇を持て余していた税務未経験の知人に依頼をしてその作業を外注しました。
インボイスを申請すると2ヶ月ほどで番号が郵送で届くのですが、それを全てPDFにしてメールで送信をしました。
メールに添付するのも手間なので途中からはGoogleドライブを共有してそこに保存する方式にしました。
初年度はそれでも結果的に5百件位の新規登録がありましたが、ほとんどスタッフが作成したものを私が送信すると言う方法で何とか回すことができました。
当初、彼らは年間数千件の需要があると見込んでいましたが、蓋を開けてみると想定より顧客は増えなかったようです。
インボイスの登録の後は消費税の申告がやってきます。
中国の法人は例外なく12月決算となっています。したがって消費税の申告期限は翌年の2月末までとなります。申告の準備に向けては、事前に消費税の計算方法についてエージェント側と確認をし、必要なデータを必要な形式でもらうことを合意しておきました。
申告書の作成もインボイスの登録と同じく何とか効率化ができないものかと考えました。消費税申告に必要な項目はあまり多くはなく、いくつかの情報をソフトに入力すれば申告書は完成します。エクセルに並んでいる数字を一定のルールでソフトに転記していく、この場面での最適な解はRPAの導入でした。
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、指定した作業を自動的に繰り返して実行するソフトウェアのことです。
UiPathと言うRPAソフトを選び、思考錯誤を繰り返した末に完全自動化に成功しました。
エージェントから送られてくるデータをRPAソフトを使い数百件の消費税申告書の作成を自動化しました。作成した後のチェック作業や書類の整理などを知人2人を動員して外注し作業を完了させました。
今年でかれこれ3年目の申告となります。
消費税の申告には原則課税と簡易課税、そして2割特例がありましたが、税制改正で国外事業者は簡易課税と2割特例が使えなくなったので、今回からは全て原則課税となりました。
原則、簡易に2割と3つの条件分岐ががあったため、RPAソフトの設定に苦戦していましたが、今回からはシンプルになりました。
現時点で3百件ほど申告は完了していますが、まだ半分も終わっていません。しかもこれから中国は春節(旧正月)に入り1週間ほど仕事がストップします。
春節が明け実質最後の1週間ほどで残りの全てをこなすことになりますが、まぁ何とかなるでしょう。
2. 利するニュース(財務・税務・AI)
財務・税務・AIなどの最新トレンドをピックアップします。
税理士が扱うメインテーマとしての税務と付随業務である財務、そして業務と密接に関わるAI・IT関連の情報について、知っておくべき情報を発信していきます。
2-1 EY調査、CFOと税務責任者が生成AIで不確実性に対応(EY)
EYの調査によれば、CFO・税務責任者の約86%が生成AI活用を最優先課題に位置づけ、投資や戦略の重点化を予測しているとのこと。
「税務専門家である回答者は業務時間の53%を定型業務に費やしており、これを21%まで半減させる一方、高付加価値の専門性の高い税務業務に費やす時間を2倍以上に増やしたいと考えています。」
「回答者は、部門への投資とリスキリングを進めています。73%がデータサイエンティストや税務テクノロジー専門家の採用を優先し、89%が既存スタッフのスキルアップとリスキリングに投資しています。回答者は、外部専門家の活用(83%)を強化し、AIに精通した人材の育成に注力しています。」
AIを活用して絶えず変化する環境に対応していく必要があります。
2-2 法人税申告書の作成プロセスをAIで自動化する『AI決算ロボット』2026年2月4日より提供開始(株式会社ROBON)
使ったわけでもなく、使用を推奨するわけでもないですが、税務業界もAIを活用したサービスが次々と登場しています。
2-3 通帳データ化アプリをGemにコンバートしてみた話(エンジョイント税理士法人)
Xで税理士たちをフォローしているとAI活用がもっぱらの話題です。
中にはこのように自作したアプリを公開したりAIで税理士業務を効率化したと報告しあっています。
私も乗り遅れまいと必死で試行錯誤しています。
3. 利するマッチング(商材・人材・M&A)
このコーナーの案件は、Webの掲示板にまとめています。最新の案件と成約・終了の状況は マッチング掲示板 をご覧ください。
4. 利する相談事例(Q&Aコーナー)
寄せられた相談事例を匿名で紹介し、解決のヒントを共有します。
このメールに対する質問や相談、叱咤激励などのご意見などは以下のフォームからお願いします。次回以降のこのメールにて答えられる範囲で回答いたします。
4-1 上場企業からの買収提案
以前会社の購入をサポートした社長から、今度は自社を得意先である上場企業から買収の提案を受けているとの相談がありました。
いよいよ秘密保持契約を結んだとの連絡があり、その社長と会ってミーティングをしました。
買収提案に至った経緯などをヒアリングし財務状況や社長の意向を確認しました。
今後の展開によっては私がFA(財務アドバイザー)として会社について交渉に同席することも可能だと伝え、引き続き連絡を取り合うことにしました。
今後の展開が楽しみです。
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